2008年9月13日土曜日

デリチュース(デリチュース/小野原)

このブログでは隠れた名店を紹介したいので、もはや超有名店になってしまったデリチュースをわざわざ紹介することはないかな、と思っていたのだが、10月に「箕面店」がオープンする(本店はこちらに移動)とのことなので、お祝いのつもりで書いてみよう。

13の住む小野原東には、昔はケーキ屋さんがいくつも営業していたそうだが、2001年に残っていたのは「エストサブロン」のみ。ここのケーキは非常に多くの種類があるが、どれも良く作り込まれていて、味も素晴らしい。いつ行っても店内はお客さんで賑わっている、人気の店だ。いくつか買って食べてみれば、この店が生き残った理由がよくわかる。

ところが2002年、13の通勤路のすぐ脇に新たなケーキ屋さんができた。「生半可な味じゃエストサブロンに負けて、消滅だなぁ。ちゃんとマーケティング・リサーチしたのか??」と思っていたのだが、メインはチーズケーキだという。一点勝負ならそこそこいけるかもな、とちょっとだけ期待しながら、開店後すぐの店舗「デリチュース」に行ってみた。

世の中には発酵系の食品がだめな人がいるらしいが、13はかなり好物。特にチーズは、硬いのからカビが生えてるのまで、好きだ。ところが、今まで食べてきたチーズケーキには、はっきり言って「チーズ」を感じたことがなかった。ベイクド系もレア系も、チーズはなんだか脇役で、主役はスポンジ、スフレ、ムースみたいなのが多かったし、それが普通だと思っていた。だから、チーズケーキがメインだと聞いても、正直あまりピンと来なかった。だから、デリチュースを最初に食べたときの衝撃は、大きかった。まじで特大だ!



私見だが、デリチュースのポイントは4つあると思う。一つはチーズの濃厚な旨さ。これだけチーズが入っていると、ケーキではなくチーズ菓子になってしまう可能性もあるはずだが、このチーズは自己主張の強さが絶妙で、土台やソースと完全に調和している。おそらく、いろんな種類のものを試行錯誤した結果、これに到達したのではないかな、と思わせる味わいだ。

二つめはベース。しっとりだがさっくりとした歯ごたえが、チーズの柔らかさを補完している。これ以上硬いとケーキの軽妙さが失われ、柔らかすぎるとなんだか食べた感じが薄いような気がする。

三つ目はソース。これはあんずかな?やや酸味のある、甘いソースがかかっている。この甘酸っぱさが、チーズとよく合うんだな…でも、この黄金色のソース層はあまり厚くなく、主役のチーズをうまく引き立てている。

こんな感じで、味、食感、見た目ともにグレードの高いチーズケーキなので、口にするたびに「ほほーぅ」と感じ入ってしまうのだが、まぁ、これらは食べた人なら皆同じ感想を持つだろう。で、残る四つ目だが、これはお持ち帰りの人には体験できない。デリチュースは小さな店舗だが、テーブルが店内外にいくつか用意されていて、その場で頂くことができる。普通のショップなら、注文したケーキがお皿に載って出てくるだけだが、ここデリチュースでは、デリチュースに数種類のフルーツが添えられ、特製ソースをさらりとかけたものが現れるのだ。ケーキ単品でも完成度が高いのに、この取り合わせはさらに絶妙な味覚のハーモニーを奏でている。料理というか、人の味覚を楽しませる道は、深いんだなぁと感じさせる。こういう逸品をすんなりと出してくる店長は、只者ではない(話してみると、穏やかでいい人だ)。



最近のデリチュースは、だいぶバリエーションが増えてきたように思う。季節のタルトやロールケーキ、プリンなど、どれもうまくて、店長の味覚に対する追求の姿勢がよく表れていると思う。でも、やっぱりデリチュースが一番かな。